歯周治療
歯周病は自覚症状がない病気
歯周病と歯周ポケット
歯周病は、歯肉や歯槽骨など歯を支えている組織(歯周組織)に起こる病気です。
- 歯肉炎
歯肉に炎症が起きた状態 - 歯周炎
炎症が原因で、歯槽骨など歯を支えている組織全体まで崩れてしまった状態
歯周組織の一番外側を歯肉といい、歯と歯肉との間には通常1mm程度の隙間があります。
歯肉に炎症が起こると歯と歯肉の隙間が深くなり「歯周ポケット」ができます。炎症がひどくなると歯周ポケットもどんどん深くなり、歯根部分では骨と歯を結んでいるコラーゲン繊維が破壊されていきます。
炎症は歯と歯肉に付くプラーク(バイオフィルム)を私たちの免疫機能により排除しようとして起こりますが、その結果として自らの歯周組織を破壊してしまうことになるのです。
Progress
歯周病の進行
歯肉炎
歯垢がたまった状態を放置すると、歯茎に炎症が起き、2〜3mmのすき間ができます。
軽度の歯周病(歯肉炎)になると、歯茎が腫れてピンク色から赤色に変色し、ブラッシング時には出血が気になるようになります。この段階では歯槽骨への影響はなく、痛みもないため歯周病であることに気付きにくい状態ですが、適切なプラークコントロールを行えば、元の健康な状態にまで改善できる場合もあります。
歯周炎(軽度)
歯茎の炎症が進み、腫れが悪化し、歯周ポケットもさらに深くなり、歯周病菌が歯周組織に侵入します。
歯槽骨や歯根膜も破壊されはじめます。
歯を支える顎の骨が溶かされはじめますが、この時点ではまだ痛みを伴わないため、気付かない人がほとんどです。
歯周炎(中度)
炎症がさらに拡大し、歯周ポケットもより深くなっていきます。歯槽骨も半分近くまで破壊が進み、歯肉退縮(歯茎下がり)が見られるようになり、歯がぐらつきはじめます。
硬いものが噛みにくくなってきます。歯茎からの出血だけでなく、歯と歯茎の間から膿が出ることもあります。
歯肉炎(重度)
重度になるとさらに症状が進行し、歯の根にまで汚れが付着し、歯周ポケットもかなり深くなった状態となります。歯槽骨が半分以上破壊され、歯は激しくグラつきます。歯茎からは出血だけではなく排膿が見られるようになり、強い口臭も発生します。噛む機能が低下し、痛みを伴うため、食事もままならなくなります。
ここまで重度になると歯周外科治療(手術)を要するケースもあります。放置しておくと歯が抜け落ちてしまう末期の状態です。
歯周病と因子
歯周病は、人によって「かかりやすさ」に個人差があります。
歯周病の発症に関わる大きな因子は細菌ですが、歯周炎を左右する因子は細菌の量ではなく、個々の方の遺伝的・環境的なことによります。
- 遺伝的因子・・・免疫反応による歯肉炎の引き起こしやすさの違い
- 環境的因子・・・喫煙などの生活習慣による違い
Treatment
歯周病の予防・治療
歯周病の原因となるバイオフィルムとは、様々な細菌が集まって形成された強固な構造体で、一般的には「プラーク」と呼ばれています。
プラーク内の細菌は相互に依存しながら口中に繁殖していくので、歯周病治療の基本は有害な細菌が繁殖する条件を壊し、病原性のあるプラークを除去することが必要となります。
- セルフケア(歯ブラシ、歯間ブラシ、歯間フロス、洗口剤、など)
- プロフェッショナルケア(スケーリング、SRP、歯周外科、PMTC(メインテナンス)、など)
スケーリング ( ハンド / 超音波 )
スケーリングは歯石などの歯面の汚れをスケーラーという器具で取り除く治療です。定期的に行うことで歯を健康な状態に保つことができます。
また、超音波振動を利用した機器を使用することにより、頑固な歯石を効率よく除去できます。
SRP(スケーリングルートプレーニング)
歯周ポケットの深い部分の歯石を専用の器具を使って除去し、歯面を滑らかにして歯石の再付着を少なくします。
エアフローマスター
<歯面清掃用装置>
歯の表面やインプラントの表面についた汚れを歯やインプラントを傷つけずに取り除くことができる唯一の製品です。
歯周病を治す新しい治療法(歯周組織の再生療法)
GTR法
骨が吸収された部分に特殊な膜を貼付け、歯周組織の再生を促す。 自分の生体再生能力を利用する新治療法「GTR法」 歯周病で破壊された歯の支持組織(線維組織や骨)は、その原因を除去すれば再生しようとします。 しかし患部を清掃したあとに何もせず、そのまま治癒を待つと必要な支持組織が再生する前に別の軟組織がそこに入り込んでしまい、うまくいきません。そこでポケットの内部を清掃した後に「メンブレン(GTR法専用に開発された医療用具)」を設置し、外から不要な組織が侵入しないように防御します。そうするとメンブレンの下には歯の支持組織が再生を始め、ゆっくりと成長していきます。